Nadia株式会社 代表取締役社長CEO。
プロのレシピサイト「Nadia」、料理家及び料理研究家のマネジメント「Nadia Management」を運営しています。
アマチュアキックボクサー。ゴールドジム。食と料理と格闘技をこよなく愛する経営者です。

■Nadia
「写真がきれい」「つくりやすい」「美味しい」3拍子揃ったお料理や「食」「料理」に関する記事を配信しています。
https://oceans-nadia.com/

■Nadia Management
料理家、料理研究家、料理教室講師、管理栄養士が所属しています。
https://nadia-artists.com/

2015年02月

「食」の仕事をしているから考えることではありますが、最近よく考えることがあるんです。
それは何かというと。 「シェフ・板前」「料理研究家・料理家」「料理ブロガー」の違いです。
いずれもお料理をつくるというお仕事に携わっているわけなのですが、それぞれイメージも違えば収入源も違います。

「シェフ・板前」はお見せを構えて来店客からお金をもらう本格的なBtoCビジネスを展開している人達。
コックさんなんかもそうかな。
つまり食べる人のことを考えている人。

それじゃ「料理家・料理研究家」って? それは作る人のことを考えている人。
そもそも料理研究家さんってどうやって生まれた?ということに興味があって。
ある筋によると戦後、奥様、お嬢様が近所の方々に手料理を振る舞ったところが起源だとか。
単純に黙々と料理の研究をする人というイメージではなく、綺麗なお皿や良い食材を皆様に振る舞ったところからなんですよ、と聞きました。
今のサロネーゼみたいなものでしょうか? まぁ起源なんてどこが本物か分かりませんが、黙々とひたすら実験室に籠もって料理の研究をするというものではないということは確かです。

それじゃ「料理ブロガー」は? イメージでは主婦の方が毎日の食事をブログにアップして発信。
レシピ考案、スタイリング、写真撮影、ブログでの拡散まで全部やります。
ブログなんで毎日毎日更新していく場合が多く、お料理の腕はもちろん、写真撮影のスキルもアップしていきます。
我流が多いですが、今はインターネットの時代。
たくさんのお手本や情報に触れられるので専門家に劣らない方も多数いらっしゃいます。
※この場合の専門家って?という議論は出てきそうですが・・ 音楽に例えると、料理家・料理研究家は歌謡曲歌手、料理ブロガーは全部こなす場合が多いのでシンガーソングライターみたいな感じでしょうか。
僕は音楽が好きなのですが、シンガーソングライターが最初に出てきたとき、どっかの雑誌で「あれは邪道」って書いてあったのを思い出しました。
「シンガーソングライターが邪道」の意味がわかんないな・・・ って思いましたが。 まぁそのライターさんのイチ意見なんでしょうけど。
新しいものが登場するとき、人はそれに警戒するし邪道っていうこともある。
出る杭は打たれるし、目立つ奴は睨まれることもある。
でも、新しいモノって結局組み合わせなので、実は「古き良き」をリスペクトした人のアレンジなんだと思います。 歌謡曲の大御所さんみたいになりたいなと思った新人歌手が自分なりにギター片手に歌っているんです。
小林さんや栗原さんみたいになりたいお料理が得意な方がブログでお料理を発信しているんだと思います。
※栗原さんが登場されたときも斬新さがあったと聞いています。

一方、大御所料理研究家さんも凄いなと思っています。
僕が一番衝撃を受けた言葉はこれ。 「お料理ってそもそもレシピなんてないのよ。家庭の味は母から娘へ。味見の文化。そもそもWEB上のレシピを見てそれだけで作れるなんて大間違い。」

主婦の方からすると当たり前なのかもしれないですが、男性の自分には考えもしなかった発想で。
僕はこのころから「レシピは基本だ」と考えるようになりました。
どういう意味かというと、料理は基本を理解していることが重要でその先はアレンジなのだと。
食材の旬や特性、調味料の基本の組み合わせを理解して、それを自分なりに家庭の味にアレンジする、そしてそれを伝授していく。
それこそが重要で。

きっと、レシピサイトの検索ボックスに単純に食材を入力して検索するもんじゃないのだろうと。
「これとこれを組み合わせてこの味ができるから、あの人に食べさせてあげよう。」 「この子達はこんな味付けをすれば、苦手な食材も食べてくれるだろう。」 なんて発想することが素敵なんでしょう。
その時から、Nadiaは「このお料理は誰のお料理?」というところにフォーカスすることにしたのです。

チキン南蛮が大事なのではなくて、誰のチキン南蛮かというのが重要だと思います。 それは「その人の家庭の味をしってもらいたいから。」なんです。
アレルギーの子どもを持つお母さんはアレルギーを気にかけたお料理をつくるし。
育ち盛りの子どもを持つお母さんは味付けが濃いめのがっつりお料理をつくるし。
人はそのバックグラウンドや経験以上のお料理はつくれません。
逆に言うと、そのお料理を食べればその人の生活や想いも少し理解できるはず。

料理研究家さん、料理ブロガーさん、表現方法は違えども彼女彼らがお贈りするお料理には必ずドラマがあるはずなのです。
そのドラマを感じるのが最近のお楽しみなのです。

株式会社OCEAN'S 葛城 嘉紀

3年前の1/31に株式会社リクルートを退職しました。
今日が経営者4年生のはじまりです。
経営者になってまる3年経過しましたが、Nadiaができてからはおよそ2年。
料理というドメインに出会うまでは色んな試行錯誤と失敗がありました。

  創業の地は千駄ヶ谷。
親戚がやっている会社のマンションの一室のコピー機の横。
自宅にあった机をそこに一個置かせてもらってのスタート。
なにせ、固定売上がほとんどなかったので固定で発生する費用はどうしても厳しかったのです。
毎月10万とか払えるわけがない。
当時、「でっかいオフィスを持つって永遠に不可能なんじゃないか」って毎日思うくらい固定費というのは怖かった。
しかし親戚は快くコピー機使用無料、電話無料、家賃無料というこれ以上無い好条件を出してくれた。
今でも彼には感謝していて彼がいなければもっと厳しい条件下で仕事をしていたでしょう。
もし僕の事業が大成功したらビールの一杯でもご馳走しようかと思います。

当時社員は2名でしたが、日中は営業。
夜は戦略を議論していました。
最初に描いていた事業モデルはまったく歯が立たなかった。
というのも、どうやら僕らは「リクルート」という名前があって、その状況で成り立つ事業モデルを無意識で構築してしまっていたらしい。
でも僕らは今は見たことも聞いたこともない会社の名刺を持っていた。
新規受注というのが非常に厳しいモデルだった。
「会って貰えたらいけるのに!」なんて今考えれば非常に稚拙な会話をしていたことも覚えています。
無理矢理でも会って貰える仕組み、もしくは会って貰えなくてもいい仕組み。
そういうのを考えなければいけなかったのに。  

経営者の悩みは「人」と「金」だと思ってます。
ほとんどそこだと思います。
そして新米若造にも徐々に「金」の悩みが出てくるのです。
毎月25日に定期的にお金が振り込まれないこと、徐々に減っていく残高に恐怖していました。
「貧すれば鈍する」という言葉もあるように、不安感ってこんなにも人のパフォーマンスを下げるんだ・・・と強烈に感じたことを覚えています。
何やっても無理なんじゃないかと思った。
でも時間だけはどんどん経過していくのです。
周りは「起業して偉いね!頑張ってね!」と言ってくれますが、そんなたいしたことやってないのにな・・なんて思ってました。
そうなると負のスパイラルに入っていって、「会社を大きくしたい!」とか「社会貢献!」なんて言えなくなった。
近所の安いラーメン屋の味にもどんどん飽きていったのです。
その頃色んな経営者の先輩方にお会いすることが多くなりました。
皆さんどうやってるんだろう?ってのを理解したくて。
たくさんの方々にお会いしました。
そして諸先輩の言葉がスッと入って来たのを覚えています。

「リクルートから飛び出してきて下手なりに自分でやっていること自体に価値がある」
「苦労して血尿3回くらい出てからがスタートです」
「あ、こんなに凄い人達でも最初はそうなんだ。自分だけじゃないんだ」と思えたのです。


つまりそれはきちんと努力していれば、このような経営者になれると思えた希望の言葉だったのです。

「かっこつける前に食えるようになろう」
「大きなことを考える前に身の丈に合った商売をしよう」
僕は秀逸な仕組みやテクノロジーなど考えることもできなかったので「飛び込み営業」「コンサルテーション」「低姿勢」の3つに武器を絞って仕事を再開しました。

もともとリクルートでは事業推進、新規事業などを経験し、ボストンコンサルティンググループの皆さんとの2年間の仕事でも相当鍛えていただいたので、お客さんも経営の話は聞いてくれました。
フットワーク軽く飛び込んで、低姿勢でコンサルという正のスパイラルを作り出せたのでどんどん業績は上がっていきました。
初年度の売上も後半の追い上げで終わってみればマルでした。
振り返ってみれば、実は僕は非常に重要なことをやっていました。
  「やらないことを決める」   時間も能力も限られているので良い意味で「身の丈にあったこと」をしっかりやればいいだけだったんです。
雑誌で取り上げられているような若手経営者の素晴らしいアイデアや高いスキルから生み出される仕事は到底できないって思ったのです。
自分にだけある自分の中に光っているものを磨けばいいって気付いたのです。
自分の「得意」を最大限に活かすことが事業の最大パフォーマンスだし、それをサポートしてくれる仲間を見つけることが重要だったのです。  
僕はその時から人と自分を比べることを止めました。

  会社でも組織でも一番大事なのは「人」。
「人」はそれぞれカラーが違う。
まったく同じ人が所属している会社や組織なんてない。
それ自体が唯一無二なんです。
そこに自信を持って、地道な事業展開を続けていけばいいのです。  

そこからしばらく経って僕はOCEAN'S、Nadiaと出会うわけです。
そして今の素晴らしいメンバー達とも。 SONYの盛田さんも井深さんも、どんな偉大な経営者だって最初はビギナーなはず。
たくさんの経験や苦労を重ねてステージアップしているはず。
経営者は考えや志を自身で鍛え上げてステージを上げ続けるのでしょう。  

旅はまだまだ続く。
株式会社OCEAN'S 葛城 嘉紀

↑このページのトップヘ